鼻中隔弯曲症による鼻づまり

  • HOME>
  • 鼻中隔弯曲症

鼻中隔の曲がりによる鼻づまりは、薬では治せないものです

鼻中隔の曲がりによる鼻づまりは、薬では治せないものです

「いつも片方の鼻がつまっている」
「点鼻薬を使っても鼻づまりがすっきりしない」
「鼻炎の治療を続けているのに鼻が通らない」

このような鼻づまりの原因のひとつが、鼻中隔弯曲症です。

鼻中隔とは、左右の鼻の穴を隔てている壁のことです。成人では多くの方にある程度の曲がりがありますが、弯曲が強く、空気の通り道が狭くなって鼻呼吸に支障をきたしている状態を「鼻中隔弯曲症」といいます。

大切なのは、鼻中隔は骨や軟骨でできているため、その曲がり自体を内服薬や点鼻薬でまっすぐにすることはできないということです。

アレルギー性鼻炎などを合併している場合には、薬によって粘膜の腫れを抑えることで鼻づまりが軽くなることはあります。

しかし、鼻中隔の形そのものが鼻づまりの主な原因になっている場合、根本的に改善するためには**鼻中隔矯正術(内視鏡下鼻中隔手術)**が必要になります。

こんな鼻づまりは鼻中隔弯曲症かもしれません

・片側の鼻がいつもつまっている
・左右差の強い鼻づまりがある
・鼻炎の薬や点鼻薬を使っても十分に鼻が通らない
・口呼吸になりやすい
・就寝時に鼻がつまり、いびきがある
・運動すると鼻呼吸がしにくい
・鼻づまりとともに嗅覚が低下している
・副鼻腔炎を繰り返す

鼻づまりは鼻中隔弯曲症だけで起こるわけではありません。

アレルギー性鼻炎による粘膜の腫れ、下鼻甲介の肥大、鼻茸、慢性副鼻腔炎など、複数の原因が重なっていることもあります。

そのため、「鼻中隔が曲がっている=手術」ではなく、その曲がりが本当に鼻づまりの原因になっているのかを診断することが重要です。

鼻中隔弯曲症はなぜ起こる?-鼻中隔が弯曲する原因-

鼻中隔は、軟骨と篩骨、鋤骨、上顎骨と呼ばれる板状の骨で構成されています。

顔面が成長する過程で骨と軟骨の成長バランスに差が生じることなどにより、鼻中隔には自然に弯曲が生じます。また、過去の鼻の外傷が弯曲に影響していることもあります。

成人では鼻中隔が完全にまっすぐな方のほうが少なく、多少曲がっているだけで治療する必要はありません。

問題になるのは、「曲がっていること」ではなく、「曲がっているために鼻呼吸が妨げられていること」です。

・成長過程での不均衡:顔の成長に伴い、軟骨と骨の成長速度の差によってバランスが崩れ、徐々に弯曲が生じる
・外傷:幼少期の鼻への衝撃(First Trauma)が弯曲の方向を決定する可能性があります。重度の外傷では、骨折が治癒した状態(鼻骨変形治癒骨折)で固定されることもあります。
・直立歩行による重力の影響:人類の直立歩行と脳の発達が、鼻中隔への負荷を増大させ、弯曲を引き起こす一因と考えられています。

鼻中隔弯曲症の診断

鼻中隔弯曲症の正確な診断と適切な治療方針の決定のため、以下の検査を行います。

視診・前鼻鏡による診察

鼻鏡を用いて鼻腔内を直接観察し、弯曲の程度を評価します。鼻の入り口から曲がっている弯曲の場合、直接医師の目で見るこの診察が最も重要ともいえます。

内視鏡検査

細径の内視鏡を使用して鼻腔内を詳細に観察し、後方の鼻中隔の弯曲や棘と呼ばれる骨の突出の形状、同時に、下鼻甲介の腫れ、アレルギー性鼻炎、鼻茸、副鼻腔炎など、鼻づまりを悪化させるほかの原因がないかも確認します。

CT検査

被ばく量が少なく、骨の形状を精確に把握することのできるコーンビームCTを用いて、鼻中隔の弯曲を立体的に評価するとともに、鼻腔のどこが狭くなっているのか、副鼻腔炎を合併していないかなどを確認します。

鼻腔通気度検査

左右それぞれの鼻の空気の通りにくさを測定し、鼻づまりを客観的に評価します。

「本人が感じる鼻づまり」と「鼻の形」「実際の空気の通り方」を合わせて評価し、治療方針を決めます。

手術で治す鼻づまり

ここは鼻中隔弯曲症を理解するうえで、とても重要です。

アレルギー性鼻炎などによって鼻の粘膜が腫れていることによる鼻づまりは、抗アレルギー薬や鼻噴霧ステロイドなどで改善する可能性があります。

一方、鼻中隔弯曲症は骨・軟骨という「形」の問題です。

薬によって周囲の粘膜の腫れを減らすことはできても、曲がった鼻中隔そのものをまっすぐにすることはできません。

そのため、

薬物治療を行っても鼻づまりが残る

鼻中隔の弯曲が鼻呼吸を妨げている

と判断される場合には、手術が根本的な治療になります。

内視鏡下鼻中隔手術

鼻の穴から内視鏡を入れ、鼻中隔の粘膜をできるだけ温存しながら、鼻づまりの原因となっている弯曲した軟骨や骨を処理し、左右の空気の通り道を整えます。

また、目的は鼻中隔を「定規のように完全にまっすぐにする」ことではありません。

鼻呼吸を妨げている部分を適切に矯正し、空気が通りやすい鼻腔をつくることが手術の目的です。

鼻中隔の曲がり方によって異なる手術方法

鼻中隔の弯曲の部位や程度、鼻の外側の形の変形の有無によって、手術方法は大きく3つに分かれています。

・内視鏡下鼻中隔手術Ⅰ型:一般的な鼻中隔弯曲症に対して行う術式です。 鼻腔の奥のほうで弯曲した骨を切除する形で矯正を行います。

・内視鏡下鼻中隔手術Ⅲ型:鼻中隔の前方、つまり鼻の入口に近い部分が強く曲がっている状態を前弯といいます。前弯は鼻呼吸に大きく影響する一方、通常のⅠ型手術では十分な矯正が難しいことがあります。このような場合には内視鏡下鼻中隔手術Ⅲ型を行い、鼻中隔前方の支持構造に配慮しながら弯曲を矯正します。

・内視鏡下鼻中隔手術Ⅳ型:

鼻中隔の強い弯曲が、鼻腔内だけでなく外から見た鼻の形にも影響している場合があります。そのため、外鼻変形を伴うような高度の鼻中隔弯曲では、鼻の外の皮膚に切開を入れて美容整形と同じようなアプローチで鼻中隔の支持構造や外鼻形態まで考慮しながら、鼻呼吸を改善するための手術を行います。

鼻中隔だけでなく「鼻全体の通り道」を考えての手術

鼻中隔弯曲症の手術では、曲がった鼻中隔だけを矯正すればよいとは限りません。「空気の通り道」のバランスを整え術後の鼻汁やくしゃみなどの症状のコントロールのために

・粘膜下下鼻甲介骨切除術(内視鏡下鼻腔手術Ⅰ型)

・後鼻神経切断術(経鼻腔翼突管神経切除術)

といった手術を組み合わせて行う必要があります。

なぜ下鼻甲介の手術も行うのでしょうか?

鼻中隔が片側へ大きく曲がっていると、左右の鼻腔の広さと空気抵抗に差が生じます。

すると、鼻中隔から離れて広くなっている側では、下鼻甲介が大きくなる「代償性肥厚」が起こることがあります。

この状態が長期間続くと、単に粘膜が腫れているだけではなく、下鼻甲介の中にある骨そのものが大きく発達していることがあります。

このような状態で曲がった鼻中隔だけを矯正すると、今度は大きくなった下鼻甲介が空気の通り道を狭くし、それまで鼻中隔が曲がっていた側とは反対側に強い鼻づまりが残ることがあります。

そこで当院では、鼻中隔だけではなく下鼻甲介の大きさや左右のバランスも確認し、必要に応じて粘膜下下鼻甲介骨切除術を同時に行います。

下鼻甲介の粘膜をできるだけ温存しながら、その中にある骨を適切に減量することで、鼻中隔を矯正した後の左右の空気の通り方まで考えて鼻腔を整えます。

アレルギーによる「下鼻甲介の暴走」を抑える後鼻神経切断術

下鼻甲介は、単なる鼻の中の「でっぱり」ではありません。

鼻に入ってくる空気に流れを作り振り分けて副鼻腔に送るエアコンのルーバーのような役割を持ち、また、鼻の後方から入ってくる後鼻神経が下鼻甲介をはじめとする鼻粘膜に分布し、鼻汁の分泌や、アレルギー・外部刺激に対する鼻粘膜の反応に関わっています。

アレルギー性鼻炎が強い方では、この反応が過剰になることで、

鼻水が止まらない
刺激を受けると鼻がすぐにつまる
下鼻甲介が腫れて鼻の通りが悪くなる

といった症状につながります。

症状や鼻内所見に応じて、下鼻甲介へ分布する後鼻神経の一部を切断する後鼻神経切断術を組み合わせます。

わかりやすく言えば、アレルギーや刺激に過剰に反応する**「下鼻甲介の暴走を抑える」**ための手術です。

鼻中隔矯正術で、鼻の構造を整える。
粘膜下下鼻甲介骨切除術で、左右の空気の通り方を整える。
後鼻神経切断術で、過剰な鼻水や粘膜の反応を抑える。

単に「曲がった鼻中隔をまっすぐにする」のではなく、なぜ鼻づまりが起こっているのかを考え、その方の鼻に必要な術式を選択することが大切です。

副鼻腔炎を合併している場合

鼻中隔弯曲症と慢性副鼻腔炎を合併していることもあります。

その場合には、鼻中隔矯正術と同時に**内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS)**を行うことがあります。

鼻中隔を矯正することで鼻呼吸を改善するだけでなく、ESSを安全かつ適切に行うための術野を確保するという意味を持つ場合もあります。

鼻中隔弯曲症、下鼻甲介肥大、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎などをそれぞれ別々に考えるのではなく、鼻全体の構造と炎症を評価したうえで必要な治療を組み合わせます。

全身麻酔による日帰り手術に対応

鼻中隔弯曲症に対する手術を全身麻酔による日帰り手術で行っています。

手術中に痛みを感じることはなく、手術終了後は院内で十分に休んでいただき、全身状態や出血などを確認したうえで帰宅します。

「日帰り手術=簡単な手術」という意味ではありません。

術前に鼻内視鏡やCTなどで鼻腔の状態を十分に評価し、鼻中隔だけでなく下鼻甲介やアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎の状態も確認したうえで、必要な手術範囲を計画します。

鼻中隔手術の中でもⅢ型、Ⅳ型はより精確な操作を必要としますので基本的には全身麻酔の手術が必要と考えます。

手術後について

手術直後は粘膜の腫れや鼻内の処置などによって、一時的に鼻づまりを強く感じることがあります。

その後、傷の治癒とともに徐々に鼻の通りが変化していきます。

術後は鼻内の状態を確認しながら、必要な処置や鼻洗浄などを行います。

また、鼻中隔弯曲症にアレルギー性鼻炎を合併している場合、鼻中隔を矯正しても、アレルギーそのものがなくなるわけではありません。

手術は鼻の**「形」や過剰な反応を整える治療**、薬物療法は鼻粘膜の**「炎症」を抑える治療**です。

必要に応じて、手術後もアレルギー性鼻炎に対する治療を続けます。

page top

Web予約

お問い合わせ

完全予約制075-352-8711

24時間
AI相談