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嗅覚障害の治療
嗅覚障害は、においを感じられない、または正確に識別できない状態を指します。この障害は、鼻の奥にある嗅神経へのにおい分子の到達阻害や、嗅神経自体の機能不全など、様々な要因で発生します。
嗅覚は私たちの日常生活に深く関わっており、その障害はQOL(生活の質)に大きな影響を与える可能性があります。
当クリニックの嗅覚専門外来
おぎのクリニック京都駅前では、嗅覚障害に特化した専門外来を設けています。嗅覚は私たちの日常生活に深く根ざした感覚であり、美味しい料理の香り、大切な人の香り、季節の移ろいを感じさせる花の香りなど、日々の小さな喜びや豊かな感情、大切な記憶を形成する上で重要な役割を果たしています。
このような嗅覚の重要性を十分に理解した上で、当クリニックでは嗅覚に関する問題の原因究明から治療方法の提案まで、包括的なアプローチを行っています。耳鼻咽喉科医の中でも嗅覚診療を専門としてきた医師が担当し、診断から薬物療法、必要に応じて手術まで一貫したサポートを行います。
嗅覚検査室を設置
当クリニックは「嗅覚検査室」を完備し、基準嗅覚検査(T&Tオルファクトメトリー)を実施しています。この検査室は専用の換気システムを備え、全国の診療所でも設置率が3~4%と稀少な施設です。
この検査により嗅覚のレベルを正確に把握し、CT検査や静脈性嗅覚検査などの結果と併せて、的確な診断と最適な治療計画を立案します。
嗅覚障害の主な原因と治療方法
アレルギー性鼻炎・鼻中隔弯曲症
アレルギー性鼻炎による鼻粘膜の腫脹や鼻中隔弯曲症により、嗅裂(嗅粘膜が分布する部位)が狭くなると、におい分子が嗅神経に到達しにくくなります。治療方法としては以下が挙げられます。
治療方法
薬物療法 | 抗ヒスタミン薬、鼻噴霧ステロイド薬、点鼻ステロイド薬を使用します |
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手術治療 | 内視鏡下鼻中隔手術などを行い、嗅裂への気流を改善します |
内服薬や点鼻薬で一時的に改善しても、中止すると症状が再発する場合や、強い鼻づまりを伴う場合は手術を検討します。手術により嗅裂への気流が確保され、におい分子が届きやすくなることで嗅覚の改善が期待できます。
好酸球性副鼻腔炎
好酸球性副鼻腔炎は嗅覚障害を高率に引き起こす疾患で、当クリニックの嗅覚障害患者の約50%がこの疾患と診断されています。特徴と治療方法は以下の通りです。
特徴
- 鼻茸(ポリープ)が目立つタイプと目立たないタイプがあります
- 目立たない場合、診断が遅れることがあります
など
治療方法
持続的な薬物療法 | ステロイド点鼻薬、抗ロイコトリエン薬などを使用します |
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生物学的製剤 | 重症例では抗体医薬品の使用を検討します |
手術治療 | 内視鏡下副鼻腔手術(ESS)などを行い、病変を除去します |
治療は長期に及ぶことが多く、再発予防のための継続的なケアが重要です。
感冒後嗅覚障害
感冒後嗅覚障害は、ウイルス感染後に嗅神経が損傷を受けることで発生します。特徴と治療方法は以下の通りです。
特徴
- 自然改善率は1年で約30%、3年で約60%です
- 完全な回復には長期間を要することがあります
など
治療方法
薬物療法
- 漢方薬(当帰芍薬散など)
- ビタミンB12製剤
- 亜鉛含有薬剤(血中亜鉛値が低い場合)
など
嗅覚刺激療法
嗅覚刺激療法は、特定の香り(バラ、レモン、ユーカリ、クローブなど)を毎日嗅ぐリハビリテーション法です。この療法には以下の効果が期待されます。
- ダメージを受けた嗅神経の再生促進
- 脳内のにおい情報処理の改善
- 嗅覚同定能の向上
など
この療法は2009年にドイツで報告されて以来、世界中で採用されており、COVID-19による嗅覚障害の治療方法としても第一選択となっています。日本でも現在、多施設共同臨床試験が進行中です。
脳の外傷・疾患による嗅覚障害
脳の外傷や疾患によっても嗅覚障害が引き起こされることがあります。主な原因と治療方法は以下の通りです。
原因
- 交通事故などによる外傷:後頭部打撲により前頭葉が損傷を受け、嗅神経が断裂することがあります
- 脳腫瘍手術後の嗅神経切断
- 神経変性疾患:パーキンソン病、レビー小体型認知症など(症状発症の数年前から嗅覚障害が現れることがあります)
など
治療方法
- 外傷の程度や原疾患によって改善率は異なりますが、嗅覚刺激療法を中心とした治療を行います
- 神経変性疾患の場合は、原疾患の治療が中心となります
- 脳腫瘍術後など、嗅神経が完全に切断された場合の改善は困難ですが、残存する嗅覚機能の維持・改善を目指します
適切な診断とオーダーメイドの治療計画を提供
これらの多様な原因による嗅覚障害に対して、当クリニックでは適切な診断とオーダーメイドの治療計画を提供しています。早期の診断と治療開始が重要ですので、嗅覚に関する違和感がある場合は、速やかにご相談ください。
おぎのクリニック京都駅前の嗅覚障害の治療