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内視鏡下副鼻腔手術(ESS)
内視鏡下副鼻腔手術(ESS:Endoscopic Sinus Surgery)は、慢性副鼻腔炎や難治性の副鼻腔炎に対して行われる手術です。この手術の主な目的は、副鼻腔本来の機能である空気の清浄化と加湿を回復させることにあります。
副鼻腔は、複数の小さな「部屋」が並んだ構造をしており、それぞれが出入り口を持っています。通常、空気はこれらの部屋を循環することで清浄化され、加湿されます。しかし感染やアレルギーなどにより炎症が持続すると、副鼻腔の粘膜が腫れたり、ポリープが形成されたりして、これらの出入り口が閉塞してしまいます。
薬物治療や鼻洗浄(鼻うがい)で改善が見られない場合、手術が検討されます。手術では、高度な内視鏡技術を用いて閉鎖した副鼻腔の壁を取り除き、内部を清掃します。これにより、より広い空間を作り出し、副鼻腔の換気と排泄機能を回復させます。
この手術は、いわば「副鼻腔の大掃除とその後のケアをしやすい構造へのリフォーム」と表現できます。炎症組織を除去し、副鼻腔の構造を改善することで、術後の管理がしやすくなり、長期的な症状改善が期待できます。
手術時間は副鼻腔手術のみで1時間から1時間半程度ですが、鼻中隔弯曲症や肥厚性鼻炎の手術も同時に行うことが多いため、全体で約2時間近くかかることがあります。
※内視鏡下副鼻腔手術(ESS)の流れについては、下記をご参照ください
対象となる主な疾患
副鼻腔真菌症
副鼻腔内に真菌(カビ)が増殖する感染症で、慢性的な症状を引き起こします。
鼻茸(鼻ポリープ)
副鼻腔や鼻腔内に発生する良性の腫瘤で、鼻づまりの原因となります。
期待できる効果
- 鼻づまりの改善
- 鼻漏(鼻水)の減少
- 嗅覚障害の改善
- 頭痛や顔面痛の軽減
- 副鼻腔炎の再発予防
など
内視鏡下鼻中隔手術
内視鏡下鼻中隔手術は、鼻中隔弯曲症による鼻閉塞を改善するための手術です。当クリニックでは、患者様の状態に応じて全身麻酔で実施し、日帰り手術として提供しています。
なお、この手術は単独で行うこともありますが、多くの場合、他の手術(粘膜下下鼻甲介骨切除術、後鼻神経切断術、内視鏡下副鼻腔手術)と組み合わせて行います。そのため、手術時間が1~2時間程度になることがあります。
※内視鏡下鼻中隔手術の流れについては、下記をご参照ください
対象となる主な疾患
外傷性鼻変形
事故や怪我により鼻の形が変形し、機能障害を引き起こしている状態です。
期待できる効果
- 鼻呼吸の改善
- いびきの軽減
- 副鼻腔炎の予防
- 鼻出血の減少
など
粘膜下下鼻甲介骨切除術(内視鏡下鼻腔手術)
粘膜下下鼻甲介骨切除術は、長期的な鼻の炎症によって過度に肥厚した下鼻甲介を適切なサイズに調整する手術です。この手術では、内視鏡を用いて下鼻甲介の粘膜を切開し、肥厚した骨(中骨)を部分的に切除します。これにより鼻閉を改善しつつ、下鼻甲介本来の機能である空気の流れの調整機能を維持します。
通常、経鼻腔翼突管神経切除術(後鼻神経切断術)や内視鏡下鼻中隔手術などと併せて行われます。
※粘膜下下鼻甲介骨切除術(内視鏡下鼻腔手術)の流れについては、下記をご参照ください
対象となる主な疾患
肥厚性鼻炎
下鼻甲介が慢性的に腫れて肥大化し、鼻づまりを引き起こしている状態です。
血管運動性鼻炎
自律神経の乱れにより鼻粘膜が腫れ、鼻づまりや鼻水が生じている状態です。
期待できる効果
- 鼻づまりの改善
- 鼻呼吸の正常化
- アレルギー症状の軽減
- 生活の質(QOL)の向上
など
経鼻腔翼突管神経切除術(後鼻神経切断術)
経鼻腔翼突管神経切除術(後鼻神経切断術)は、重症のアレルギー性鼻炎や血管運動性鼻炎などに対して行われる手術です。この手術では、下鼻甲介に分布する神経(翼突管神経後鼻枝)を選択的に切断することで、過剰な鼻汁分泌、くしゃみ、鼻づまりを改善します。
当クリニックでは、この手術を粘膜下下鼻甲介骨切除術と併せて行うことが多く、骨が硬く肥厚したタイプの鼻炎にも効果が期待できます。
※経鼻腔翼突管神経切除術(後鼻神経切断術)の流れについては、下記をご参照ください
対象となる主な疾患
血管運動性鼻炎
自律神経の影響で鼻粘膜の血管が拡張し、鼻づまりや鼻水が生じている状態です。
期待できる効果
- くしゃみの減少
- 鼻水の軽減
- 鼻づまりの改善
- アレルギー症状全般の緩和
- 薬物使用量の減少
など