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嗅覚障害の検査・診断
おぎのクリニック京都駅前では、嗅覚障害の正確な診断と適切な治療計画の立案のために、複数の検査を組み合わせた総合的なアプローチを行っています。
問診・アンケート
嗅覚障害の診断において、患者様への詳細な問診は非常に重要です。以下の点について丁寧にお聞きします。
- 嗅覚の異変を感じ始めた時期
- 症状の進行状況
- 日常生活や健康への影響
- 既往歴や服用中の薬剤
- 職業や生活環境
など
これらの情報は、嗅覚障害の原因特定や治療方針の決定に大きく寄与します。
基準嗅力検査(T&Tオルファクトメトリー)
基準嗅力検査は、「嗅ぐ力」(嗅力)と「においの識別能力」を評価する標準的な検査方法です。日本では労災事故などによる嗅覚障害の判定基準としても用いられています。
検査の流れ
- 5種類の異なるにおいを使用
- 薄い濃度から順に嗅いでいく
- においを感じた時点の濃度(検知域値)を記録
- におい種類が分かった時点の濃度(認知域値)を記録
- 各値の平均を算出し、嗅覚障害の程度を判定
当クリニックでは専用の「嗅覚検査室」を完備し、この検査を実施しています。検査結果は他の検査データと併せて総合的に評価し、最適な治療方法の提案に活用します。
静脈性嗅覚検査(アリナミンテスト)
静脈性嗅覚検査(アリナミンテスト)は、嗅神経の機能を間接的に評価する重要な検査方法です。この検査は通常の嗅覚検査では反応が見られない患者様でも、嗅神経の残存機能を確認できる可能性があります。
検査の流れ
- 肘の静脈から特定の薬剤(アリナミン)を注射します
- 注射された薬剤は血流に乗って肺に到達し、呼気中に含まれるようになります
- 薬剤特有のにおいが鼻の後ろから感じられるかどうかを確認します
検査の特徴
- 鼻腔内の問題(副鼻腔炎など)で鼻から直接嗅ぐことができない場合でも、嗅神経の機能を評価できます
- 検査で反応が見られた場合、嗅神経がまだ機能している可能性が高いと判断できます
- 治療による嗅覚回復の可能性を予測する指標として活用できます
など
アリナミンテストの結果は、他の検査結果と併せて総合的に評価し、最適な治療方針の決定に役立てます。特に通常の嗅覚検査で反応が見られない患者様の場合、この検査結果が治療の方向性を決める重要な情報となることがあります。
副鼻腔CT検査
副鼻腔CT検査は、嗅覚障害の原因を特定する上で極めて重要な検査の1つです。この検査により、鼻腔および副鼻腔の詳細な構造を評価することができます。
検査の目的
- 副鼻腔炎の有無と程度の評価
- 鼻中隔弯曲症の診断とその程度の確認
- 嗅裂(嗅粘膜が分布する領域)の形状異常の検出
- 副鼻腔の詳細な解剖学的構造の把握
など
CT検査で確認できる主な点
- 副鼻腔の炎症状態:粘膜の肥厚や液体貯留の有無
- 鼻中隔の弯曲の程度と位置
- 嗅裂の開存状態:におい分子が嗅粘膜に到達できるかどうか
- 副鼻腔の気泡化(含気)の程度
- 鼻茸(ポリープ)の有無とその範囲
- 腫瘍性病変の有無
など
検査の特徴
- 高解像度の断層画像により、微細な構造変化も捉えることが可能
- X線被曝量を最小限に抑えつつ、詳細な情報を得ることができる
- 短時間で実施可能なため、患者様の負担が少ない
など
副鼻腔CT検査の結果は、嗅覚障害の原因が構造的な問題(副鼻腔炎、鼻中隔弯曲症など)にあるのか、それとも神経性の問題なのかを判断する上で重要な情報となります。また手術治療の必要性や具体的な手術計画を立てる際にも、この検査結果が大きな役割を果たします。
血液検査
血液検査は、嗅覚障害の原因となり得る全身的な要因を評価するために実施します。
主な検査項目
- 好酸球比率:アレルギー反応や好酸球性副鼻腔炎の指標
- 血中亜鉛濃度:亜鉛欠乏による嗅覚障害の可能性を評価
- 炎症マーカー:全身性の炎症の有無を確認
- 甲状腺ホルモン:内分泌疾患による影響を評価
など
総合的な診断アプローチ
当クリニックでは、上記の検査を適切に組み合わせ、患者様の症状や背景を総合的に評価することで、正確な診断と効果的な治療計画の立案いたします。嗅覚障害は原因が多岐にわたるため、このような多角的なアプローチが不可欠です。
また検査結果や診断内容については、患者様にわかりやすくご説明し、治療方針について十分にご理解いただいた上で進めていきます。嗅覚はQOL(生活の質)に直結する重要な感覚です。少しでも気になる症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。
おぎのクリニック京都駅前の嗅覚障害の治療